GAME-JP Mailing List での議論(抜粋)

#長文となりますが,ご容赦下さい.また,引用された先生方,ごめんなさい.この辺のやりとりを知らない若手が多くなってきているので,game-jpではこういう議論がなされていたことを示す上で良いのではないかと思っています(勝手な解釈)
引用中の太字,下線は意図して入れています.念のため.

[まず投げかけ]
Date: Mon, 5 Oct 98 08:24:03 JST
From: Tetsuzo YASUNARI
To: GAME JAPAN Mailing List

GAME-AANをどうすべきか?

 10月9日(金)にNASDA/EORCにて、GAMEの実行計画委員会と、GAMEの今後を語る自由懇談会が夜9時過ぎまで行われました。今年のGAME-IOPの後、観測に関する主な課題はAAN (Asian AWS Network)を中心とする長期のモニタリングとなるはずなので、この話題についての出席者のご意見をざっくばらんに伺いました。AANの責任者である私としては放射と熱収支観測のモニター体制はようやくできつつある段階であり、できれば2003年頃まではなんとか継続観測をすべきではないかという私案をたたき台として示し、懇談会でご意見を伺ったところ、いくつかの重要なご指摘、ご意見,ご批判を頂きました。時間が少なく、議論も十分ではなかったので、GAME-JPメイル上で、改めて、サイエンスとしての議論を活発にしていただきたいというのが、このメイルの趣旨です。
 ここでの議論を踏まえ、12月のGAME国内集会時に、今後の計画(再検討)を正式に議論したいと考えています。
 放射モニタリングを含めたGAME-AANの目的は、モンスーンアジア地域でのいくつかの代表的な気候・植生帯での地上放射・熱収支の長期モニタリングを行い、アジア地域の気候システムの季節変化と経年変動における大気・陸面相互作用の役割の評価に資することです。詳しくは今年3月にまとめたGAME-Implementation Planを参照してください。(まだ名大事務局にも私のところにも若干残部がありますので、ご希望の方は、ご連絡ください。)この計画を言い出した私は、境界層屋でもモデル屋でもないのですが、問題意識はきわめて簡単で、対流圏の気候を決めている最も重要な要素は、太陽エネルギーの地表面を通しての再配分過程だから、海面同様、大陸スケールでの陸面での熱・水収支をきっちりおさえる必要があるだろう、ということだけです。もちろん、広域にこの過程をおさえるには、GCMなどのモデルと衛星データの活用が必要なのでしょうが、それらの活用のためにも地上での観測がまず要るではないか、ということです。GCMの陸面過程を少し変えただけで、結果が大きく変わるという結果(Sato et al., 1986など)も多く、なおさら、実際の過程はどうなっているのか、という素朴な疑問に立ち返らざるを得ないということです。 また、GAMEの地域ごとのプロセス研究は、せいぜい数カ月の集中観測だから、季節変化、年々変動は長期モニターでカバーす
るしかないという発想です。 AANでは、1997/1998年度に、シベリア2、モンゴル1、中国淮河地域1、チベット2(+α)、タイ1に熱収支が測定できるAWSを、その他何カ所かに熱収支測定が入っていないAWSを展開しています。また、中島(東大CCSR)グループは放射収支システムを中国とタイに設置し、観測を開始しています。そのうち、シベリアを除く5地点ではPAM-III(NCAR製)という乱流計測システム付きのシステムが設置されています。ただ、システムにトラブル続きで、設置とメンテに大変な労力を要し、予定を大幅に遅れての展開となっています。このことが、現場に行く若手・中堅研究者の一部には長期モニタリングに対する悲観論を生み出していることも事実です。
 さて、9日の会議で出されたさまざまなコメントを簡単に振り返っておく必要があります。以下に私の勘違い、誤解、記憶違いなどを訂正してもらうためにも、誰が発言したかも明記してまとめておきます。(敬称略としますので、ご了承ください。)
私の部分は、その日の発言というより、これらの発言を踏まえて上での現時点での私のコメントと考えて下さい。

 まずこのような点での地上観測、しかも上記のように現時点でせいぜい10点程度の点での観測で、何がほんとにわかるのかという疑問があります。
まず、モデルの立場から、

住(東大):せいぜい1次元陸面過程のパラメタリゼーションに使えるかどうかであろう。
木村(筑波大):そのためにも、たった1点では難しく、たとえばGCIPがオクラホマでやっているような、数キロスケールでのフラックスでないとモデルには使えない。
隈(気象庁):あればそれなりに(予報などの検証などに)使えるか。
安成:確かにPILPSなどでは、陸面パラメタリゼーションの比較、改良のリファランスとしての観測データは必要だが、現在使われているのはHAPEX-Sahel,CABAWなど数キロスケールでのフラックスデータが中心である。しかし、GAMEでは高薮(気象研)などが、チベットでのフラックスデータをモデル検証に使いだしている。どの程度、使えるか、結果を待ちたい。もし、1点データが1次元モデリングにも使えないなら、それなりの戦略・戦術を練り直す必要がある。多点を広くばらまくよりも、狭い領域にテストサイトを設ける発想になるかもしれない。観測地の代表性については、かなり悲観論が多く、海洋上とちがって、陸面は複雑多様なため、よけい難しい。

これについて、

小池(長岡技科大):集中観測、衛星観測と広域点観測のコンビでうまくアルゴリズムを作って広域フラックスを出すしかない。(従って、長期モニタリングは集中観測、衛星とコンビで考えてはじめて意味を持つ。) 開発(広島大)は熱収支に大きく効く土壌水分の地域代表性を日本やモンゴルで精力的に調べているが、一般的な答えを出すにはまだ時間がかかりそうである。
谷(森林総研):地域との長期的な共同研究の科学拠点(ベース)として維持、総合的な観測を行っていくなら、それなりの意味がある。ただし、熱帯林などでの代表的なフラックスは技術的に非常にむつかしい。

いっぽう、

鈴木(東大農):プロセスがよく分かっていないところでは、1点でも現象解明という意味から大事。熱帯でいろんなことがわかってきたから、これからである。
中島(CCSR):モデリングのためにやっているのではなく、まず現象解明が大事。
大畑(北大)なども、寒冷圏について、同様な意見のようであった。
安成:これらの意見は観測的研究の原点であり、私の個人的な好みでもあるが、しかし、広域とどう結びつくかという問題が常に問われる。小池案はひとつの方法であろうが、モニタリングという概念が非常に大きくなってしまい、たくさんの地域で展開というのは難しい。その点放射あるいはCO2などは、地上での観測だが、かなり広域の大気を点でも代表できるという側面があり、IGBPのCO2-FLUXNETもそれなりの意味があろう。熱収支は、極端にいえば、(バルク法など)ルーチンの気象観測からとにかく出すことは不可能ではない。ただし、精度が問題となる。

かといって、

住:今のAANは、温暖化の直接検出といった精度もなく、非常に中途半端である。
沖:有限のリソースを考えたら、モンスーン変動に本当に重要な地域(たとえばチベット)などに集中投資して展開すべきではないか。
安成:沖案は仮説検証として、おもしろく、効率的のようではあるが、いっぽう、ほんとにチベットだけでいいのか、中央アジアは、シベリアは、モンゴルは?、ということから、現在の展開になった。新しいリソース(観測フロンティア)では、実際、中央アジアという声も出ている。

 上記はサイエンスとしても問題であるが、観測がたとえば各国の現業官庁におまかせでできるなら、できるだけたくさんやるに越したことはない。(実際、将来はフラックスも、、そのような体制にもって行くべきであろう。)問題は、1点の維持だけでも、この1年(以上)やってみて、研究者ベースでの大変な人的、経済的資源を必要とすることが実感としてでてきたことである。また、CO2やメタンのように、1点でも測ればそれだけで意味があるというレベルが、観測精度と地点(地域)、それに目的(モデリングか現象理解のみか、など)に大きく依存していることも、放射・熱収
支の問題である。そこで議論がストップしているという感じである。
 ただ、たとえば、筑波大で細々と数年続けてきたモンゴル1点でのAWS観測の経験(宮崎他、1998気象集誌改訂中)から、たとえ通常AWSによる気象観測でも、気候・気象学的に面白そうなところ(この場合は冬のシベリア高気圧の中心付近)を選んで、放射を含めて日変化、季節変化を1年以上取り続けると、他のデータ(広域客観解析データ、衛星データなど)と組み合わせることにより、少なくとも大気・陸面過程の現象解明のための新たな情報は確実に得られるということを感じている。GAMEの他の多くの地域でも、興味深い現象が熱帯、チベット、シベリアなどで、いろいろと出てきている。そしていずれも、通年で観測するという戦略が大事であることを示しているようであり、長期モニタリングの意義は、まず(季節変化にからんだ)現象解明が出発点ではあろう。しかし、(モデルにも資することができる)広域の情報にもっていくためには、どのような戦略、戦術でいくべきか、再度、議論が必要であることは確かである。ミニIOP的な地域プロジェクトの長期観測体制を精選してやるべき、と
いう意見もあるかもしれない。とにかく、思い切った発想の転換が必要であるような予感もある。2003年としても、あと5年以上あり、(予算措置は別の議論としても)、研究者が楽しく、喜んでやれるシステムはどうあるべきかも含め、再考する必要がある。
 以上、まとまりが非常に悪い報告ですが、特に若手・中堅の方々の率直なご意見をぜひ伺いたいと思っています。
 

に,たいして;

[(中堅な方からの)意見]
Date: Fri, 9 Oct 98 10:33:03 JST
From: 三上 正男
To: GAME JAPAN Mailing List
安成様他関係者各位
気象研三上です.

 私は現在GAME/AANには関わっていないのですが、来年度以降中央アジアでの陸面過程の長期観測を立案中です.少なくとも当面はin situベースの計画にならざるを得ないので、AANをどうするかという問題と無関係ではあり得ません.しかし、現在運営されているAANの実状や苦労は知らないわけで、以下の文章はそういった現実とは無関係に夢を語っていると考えてもらって結構です.
 データが得られるだけで成果となったExpeditionの時代ではなくなっているので、観測する側から見ると、一点だけのデータを持っていてもそれだけではなかなか新しい成果を出すのが難しくなっています.しかし、長期観測を維持するのは大変なエネルギーが必要です.他の方のご意見にもありましたが、今後はもっとメリハリをつけた観測計画の立案をする必要があると感じています.
 すなわち、年次計画にもとづいて、ミニIOPを各地点ごとに順次設定し、plot scale調査観測, リモセン、モデルによる総合観測・解析・数値実験を行う.長期観測については、測定項目を厳選して、その地点で本当に必要な項目の時系列(季節・年々変動)の取得を目指す.と言うことです.
 モデル実験側から必要な、ある程度のスケールを代表するないしはサブグリッド内のheterogeniety情報を含んだ入力データ(気象データ等)・出力データ(フラックス等)を長期間にわたって観測するのは現実的ではありません.しかし、ある特定の時期に空間的に密なあるいは空間代表性をもったデータを取得することは可能かもしれない.また、項目を限って長期間にわたる変動を得ることも可能かもしれません.この場合の長期観測は時間変動の実態把握が目的なので測定精度はそれほど要求しなくてもいいのではないか?例えばタクラマカン砂漠のような所では、放射収支の測定をきちっとやれば、後は風速と視程の測定だけでも良いような気がします(だめかな?).
 一方、ミニIOPを毎年異なったサイトで実施するのは物的資源の問題で難しいかもしれません.しかし、一点観測の代表性の検討、数値モデル検証データセットの取得(入力・出力全データ)、水・熱収支に関わる基本パラメーターの測定、衛星データのグランドツルースの取得等の課題を考えると、是非ともやっていただきたいように思います.ただしその地点では毎年やる必要はない.一回だけでも良い.そして、年毎に別の長期観測地点で実施する.~ニIOP実施地点に観測・解析・モデルの各研究者が集まってマンパワーを集中投下し、そこで得られつつある生データをもとに、現場で議論する場(ミニワークショップ)を設ける.だんだん、夢のような話になってきましたが、陸面過程のスケーリング問題を突破するにはマンパワーの集中投下を効率的にやる必要があると感じています.

また

[(当時若手な方からの)意見]
Date: Fri, 9 Oct 98 11:24:08 JST
From: Ichiro Tamagawa
To: GAME JAPAN Mailing List
 

玉川@名古屋大です。

 三上> 一方、ミニIOPを毎年異なったサイトで実施するのは物的資源の問題で難しいかもしれません.

 最も大きな問題点は、人的資源だと思います。今我々はバブルの最中にいて、どこも人手不足でこまっていると思います。

 三上>究者が集まってマンパワーを集中投下し、そこで得られつつある生データをもとに、現場で議論する場(ミニワークショップ)を設ける.だんだん、夢のような話になってきましたが、陸面過程のスケーリング問題を突破するにはマンパワーの集中投下を効率的にやる必要があると感じています.

 人的資源と物的資源の集中がひつようなのは、同感です。また、私も、陸面の研究者として、小スケールの集中的観測が必要とされていると考えています。(降雨時の熱水輸送量観測法の開発も必要だと思いますが、砂漠ならとりあえずいいかもしれません)

 ただ、私は個人的には、メンテナンスが可能な国内で短期間に、集中的に観測するのが今は最も良いと思っています。僻地で物理的観測を行うのは "Expeditionの時代" 向けではないでしょうか?過去の観測と比べてなにかブレイクスルーをもたらすようなデータを得るには、非現実的な労力と資源が必要になってしまうと思います。

 気候・地理的見地から僻地で観測を行うのは、それなりに理解できますが、物理的理解を深めるためには、チャレンジする課題以外に問題の少ない所でそれこそ、人的物的資源を投入して行うべきではないでしょうか?個人的には 100m 格子で 1km x 1km の観測をフラットな所から始めるべきだと考えています。100点の観測はあんまり僻地で長期にしたいとは思えません。

 さて、個人的意見はともかくとして、一般的に、研究者はそれぞれ自分の専門的興味があり、それを実行すべく、研究者になっているのだと思います。したがって、最も大切なのは、それを背負ってやっていこうという研究者の集団を作る事ではないでしょうか。今、いくつもそういう計画を走らせれるだけの人っているのでしょうか? AAN にしても 中央アジア長期観測 にしても本気で取り組む研究者の確保、養成が急務だと思います。

[に対して当時波紋を呼んだ大御所な方からの意見]
Date: Sun, 11 Oct 98 12:26:16 JST
From: Fujio KIMURA
To: GAME JAPAN Mailing List

安成さま
三上さま
玉川さま
関係者各位

木村富士男@筑波大です.   

当日に出席していたのですが,安成さんからの GAME-AANをどうすべきか の問いかけとその後の三上さん,玉川さんにモデラーの立場から改めてレスします.

> 中島(CCSR):モデリングのためにやっているのではなく、まず現象解明が大事。

と言うのは正論だと思います.しかし,これについては今回は置いておき,まずは観測とモデルとの関連に絞ります.

> 住(東大):せいぜい1次元陸面過程のパラメタリゼーション.....
> 木村(筑波大):そのためにも、たった1点では難しく、たとえばGCIPがオクラホマでやっているような、数キロスケールでのフラックスでないとモデルには使えない。

> 1点データが1次元モデリングにも使えないなら、それなりの戦略・戦術を練り直す必要がある。多点を広くばらまくよりも、狭い領域にテストサイトを設ける発想になるかもしれない。

 会議では,日本ではモデルのパラメタリゼーションを本気でやっている人はわずかしかいないので,GAMEでの「パラメタリゼーションの改善→モデルの向上」の筋書きは難しい旨の意見も出たと思います. 

さて,ここからが私の意見と言うか,妄言です.

 GAMEでは一貫して大気陸面の相互作用のパラメタリゼーションに深く関連する観測をしてきました.一方ではこれらのパラメタリゼーションは米国を中心に,急速に発展しています(というかパラメタリゼーションの骨格は遙か昔からあったが,最近急速に数値モデルに取り入れられるようになり,またそのための改良が行われた).
 しかしパラメタリゼーションに必要な地表面情報は非常に多く,また検証も様々な条件で行う必要があります.これらの情報の多い北米や欧州はともかく,それ以外の地域では,地表面情報の収集も検証も大変困難であるのが実状でしょう.これがGAMEの現地の現地観測に注目が集まっている理由の一つでもあるわけです.

 繰り返しになりますが,GAME地域では

・地表面情報が極めて少ない
・検証データが極めて少ない

ことが特徴です.従って,これらのデータの観測や収集には大きな価値があるはずです.しかしながら,これらのデータはあまりにも少ないため,また地表面が多様であるため(これは世界中どの地域でも基本的には同じだが),時間的,空間的代表性に乏しく,モデルには(パラメータの推定や検証には)そのままでは使えないのではないかという懸念があります.

この障害を乗り越えるには以下の小池さんの考え方が必要でしょう.

> 小池(長岡技科大):集中観測、衛星観測と広域点観測のコンビでうまくアルゴリズムを作って広域フラックスを出すしかない。(従って、長期モニタリングは集中観測 、衛星とコンビで考えてはじめて意味を持つ。) 開発(広島大)は熱収支に大きく

 これらのことからGAME地域で使える地表面のパラメタリゼーションとは,衛星データをうまく利用できるパラメタリゼーションであることが望ましい条件になると思います.すなわち,衛星データをモデル内で積極的に消化して,地表面情報を推定しながら大気と陸面の相互作用を算出するようなパラメタリゼーションが望まれます.このためにはパラメータの数を制限し,はじめからこのような使われ方をすることを前提に開発され
たパラメタリゼーションであることが必要です.

 衛星データを利用するパラメタリゼーションでは診断的な方法によってパラメータが決定されますから,このままでは気候モデルのような長期の数値モデルには使えません.また全球的なパラメタリゼーションの発展にも直接には寄与しません.しかし診断型のパラメタリゼーションを運用することにより,全球にも適用できる複雑なパラメタリゼーションに含まれるパラメータの検討も可能になると思います.
 モデルの成果につながる新たな観測計画を立案するには,たとえば上記したようなパラメタリゼーションのフレームを十分に練り上げ,検証に必要なデータの種類と期間,精度を十分検討した上で,計画すべきであると思います.
 GAMEの各地域で得られたデータが得られ今こそ この地域に適したパラメタリゼーションのフレーム作りと詳しい検討が可能です.

三上さん>>
年毎に別の長期観測地点で実施する.ミニIOP実施地点に観測・解析・モデルの各研究者が集まってマンパワーを集中投下し、そこで得られつつある生データをもとに、現場で議論する場(ミニワークショップ)を設ける.だんだん、夢のような話になってきましたが、陸面過程のスケーリング問題を突破するにはマンパワーの集中投下を効率的にやる必要があると感じています.

玉川さん>>
さて、個人的意見はともかくとして、一般的に、研究者はそれぞれ自分の専門的興味があり、それを実行すべく、研究者になっているのだと思います。したがって、最も大切なのは、それを背負ってやっていこうという研究者の集団を作る事ではないでしょうか。今、いくつもそういう計画を走らせれるだけの人っているのでしょうか? AAN にしても 中央アジア長期観測 にしても本気で取り組む研究者の確保、養成が急務だと思います。

 研究者の動きはだんだん市場経済型になってきていると思います.若い研究者が生き残るには,とにかく論文を生産しなくてはなりません.論文が書けると思えば研究者はGAMEなどのプロジェクトに参加し,労力の割に書けないと思えば離れていくでしょう.研究者を養成しても,育った研究者が一人前になったとたん,彼は市場原理で動くでしょう.
 GAMEとその後継の研究計画では,まずGAMEとしての成果(論文)を世にだし,論文が書けることを証明するのが研究者を集める最善の方法ではないでしょうか.不良債権が累積すれば(研究者の労力と予算を使い,成果が少なければ)新たな研究者の参加は望めないでしょう.
 将来の計画はもちろん大切ですが,今回の観測の結果を成果としてまとめ上げることを推進することがさらに重要であると思います.結果の解析や論文の執筆に障害になることはできるだけ取り除き (引用者注:ホントにメールに下線が施されていました),とりまとめのための研究集会の頻繁な開催など,各研究者レベルでの論文執筆を支援する方向でのGAMEの運営が重要だと思います.

GAMEの成果は私の担当のTibetのモデリングが一番遅れているとの意見があります.率直に反省しています.

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