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    名古屋大学地球水循環研究センターにおいて、帯降雨観測衛星(TRMM)のデータ解析を行っている。 下図は塔載レーダが捉えた1998年1月からの10年分の平均降水量、最大降水月、最大降水地方時間の図である。 地図の線を引かなくても場所がわかるくらい、降水量は均一に降っているのではなく場所依存性があるのが分かる。 また、平均最大降水月は南北の違いが、平均降水地方時間は陸と海の違いが極立つ。


    研究テーマとしては、
    ・10年を越える連続的なデータから、上図の様に全球的に様々な降水特性の時間的空間的変動を捉える。
    ・JRA25のデータも使い、下図の様に晴天域の地表面射出率の時間的空間的変動を捉える。
    ・また、この結果からマイクロ波計の陸域降水推定精度向上の可能性を探る。
    ・降水特性の海流との関連を調べる。
    などを行っている。
    これはある仮定の元得られた1998年6月の10GHzの水平偏波の晴天時陸面射出率である。

    この衞星については、 JAXA/EORCのホームベージ に詳しく書かれている。

    以下その文章の抜粋。 TRMMは観測点の少ない熱帯海洋域を含む地球規模での降雨観測を目指し、 1997年11月28日、H-2ロケットによって種子島から打ち上げられた。 降雨観測は、水循環を理解し、気候変動のメカニズムを解明するために重要である。
    この衞星は、降雨レーダ (Precipitation Radar; PR)とTRMMマイクロ波観測装置 (TRMM Microwave Imager; TMI)を搭載している。PRは、13.796、13.802 GHzを用 い、降雨の3次元構造を調べることができる。観測幅:220 km、鉛直分解能:250 m、水平分解能:4.3 kmである。一方、TMIは、 10.7、19.4、21.3、37.0、85.5 GHzを用い、海洋上の降雨強度を観測することを目的とするものである。観測幅 : 760 km、水平分解能 : 38.3、18.4、16.5、9.7、4.4 kmである。
    現在、1998年のPRとTMIの観測可能な領域全体のデータを使い、陸上、海洋上、 海岸上での降雨分布を調べている。
    TRMMはPRとTMI以外に、雲分布を調べる可視赤外観測装置 (Visible Infrared Scanner)、 雷観測装置 (Lightning Imaging Sensor)、雲および地球放射エネルギー観測装置 (Clouds and the Earth's Radiant Energy System)も搭載しており、 相補的に気象現象を捕えることができるようになっている。
    また、2001年8月7日から24日にかけ、350kmから402.5kmに軌道高度を変更し、 寿命を当初の2001年から2007年10月(推定)まで延長させたため、データの蓄積は 厖大になると予想される。 そして、TRMMの観測が始まった頃は、エルニーニョ現象が衰え始めた時期で、1998 年中頃以降はその反対の傾向を示すラニーニャ現象が続いている。2007年までに は再びエルニーニョ現象の盛衰が現れる可能性があり、その観測も有益であると 考えられているようだ。
    更に、将来計画としては全球降水観測計画(GPM)が考案されており、 複数の人工衛星を用い、TRMMの観測領域を越えた、高緯度地方までを含む広範囲の降水活動を 高頻度で観測することを可能にするものである。

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